経済産業省から発表されている調査レポート資料「海外から見た日本ブランドのイメージ調査」が
なかなかに興味く、改めて勉強になる内容でしたので、シェアしたいと思います。
海外展開を構想される皆さま、インバウンド向けサービスを開発したい方にとっても
とても示唆に富んだ内容となっていますので、ぜひPDFファイルへ目を通していただければと思います。
Japan Brand Image Research
海外都市から見た日本のブランドイメージ調査 / 2023 経済産業省
⚫︎調査地域:ロンドン、ベルリン/パリ、ニューヨーク、シンガポール
⚫︎富裕層市場が大きく、日本文化への需要が伸びると予想される地域に焦点を当てる。
⚫︎調査対象者:文化への関心が高く、世帯年収が都市平均を超える富裕層。
⚫︎「モダンラグジュアリー層 ※」に該当する価値観を持つ人々。
※「モダンラグジュアリー層」という言葉は、現代の新しい価値観の上で豪華さや贅沢を再定義して求める層を指します。この層の人々は、伝統的なラグジュアリー(高級品、豪華なライフスタイル)に加え(あるいはそれ以上に)、自分らしい成熟した価値観やスタイルを重視します。具体的には以下のような特徴があるようです。
- 品質とデザインの重視: ただ高価なだけでなく、洗練されたデザインと高い品質を持つ商品やサービスを求める。
- エクスクルーシブな体験: 一般には手に入らない特別な体験や文化的サービスを好む。
例として、限定イベントへの参加やオリジナルにカスタマイズされた旅行プランなどがあります。 - サステナビリティとエシカルな消費: 環境に配慮した商品や倫理的に生産された商品を選ぶ傾向が強い。
- テクノロジーとイノベーション: 最新の技術やイノベーションを取り入れた商品やサービスを求める傾向。
スマートホームデバイスや最新のガジェット、ハイテクなファッションアイテムなどが含まれます。 - カスタマイゼーション: 自分の個性や好みに合わせたカスタマイズ可能な商品やサービスを重視します。
この層は、単なる物質的な豊かさだけでなく、
豊かなライフスタイルやユニークな体験を求める現代的文化的で思慮深い消費者を指すようです。
経済産業省から発表されてレポート資料
「海外から見た日本ブランドのイメージ調査」を以下に要約します。

調査の目的と手法
- 目的:海外から見た日本のブランドイメージを理解し、需要拡大の機会を見極める。
- 手法:エキスパートインタビュー、現地訪問調査、ユーザーインタビュー、ソーシャルメディア調査を実施。
日本のブランドイメージ
- 独自性と信頼性
- 日本の製品は信頼できる。
- 他の国とは異なる独特なイメージがある。
- 古き良きものと新しいものの両立
- 伝統文化(富士山、ゲイシャなど)とポップカルチャー(アニメ、マンガ)が共存。
- 「カワイイ」や「奇抜さ」
- アニメやポップカルチャーが広く認知され、「カワイイ」文化が人気。
- 高品質と手頃な価格
- 無印良品やユニクロなど、高品質で手頃な価格の日本製品が評価されている。
- 健康的で環境に優しい
- 日本食は健康的であり、環境にも配慮されているというイメージがある。
- 職人技
- 日本の伝統工芸や現代のデザインが高く評価されている。
- 自然と共生する精神性
- 禅や自然との共生が注目され、精神的な癒しの場として評価されている。
日本ブランド向上のための戦略
- ターゲット設定:日本文化に興味を持つ層を狙う。
- 文化の幅を広げる:昭和レトロなど過去の文化も含めて紹介。
- 海外事業支援:現地の起業家やデザイナーと協力し、より広範な層にアピール。
- アクセス向上:日本製品の海外での入手を容易にする。
日本に対するネガティブイメージと課題
- 社会の硬直性や男性優位の文化、官僚的な構造などが挙げられている。
- 言語の壁やインフラの問題、観光地の混雑などもネガティブな体験として報告されている。
日本のブランドイメージは、独自性、信頼性、高品質、健康的な生活、職人技、自然・文化・歴史との共生、一方、サーバーシティ的な異世界感・近未来感といった複雑多面的な価値によって形成されていると思います。
海外のモダンラグジュアリー層はもしかしたら私たち日本人よりもその価値や魅力を理解しているのかもしれません。これらの強みを活かしつつ、ネガティブな要素を改善することで、海外からの需要はさらに拡大できる余地が広がっていると思います。