蓋を開けてみれば、共和党トランプさん圧勝での再選となった米国大統領選挙ですが
関税60%を課すと名指しされている中国を始め、同盟国日本、そして世界各国は不透明な未来像に
やや戦々恐々としている様子が伺えます。
貿易を主軸とする企業によっては米国の貿易や関税政策の方針転換による影響がどのような形で表れるのかを様々に検証をしており、ビジネスモデル自体を大きく見直す企業も出てきているようです。
やはり、日本、そして沖縄は、第2次トランプ政権での政策方針に注目せざるを得ませんね。
また、地政学的なリスクがどのように生じるのかについても直視せざるを得ないと考えます。
トランプ第2次政権での関税方針
①全輸入品に対し10%〜20%の関税を導入する
②中国に対しては関税を60%へと引き上げる
③米国からの輸出品に対し、10%を超える関税を課している国に対してはそれ以上の関税を課す
※メキシコの自動車産業には200%以上の関税を課す
(これはメキシコ工場を運用する中国を念頭においたものと言われますが、トヨタ、ホンダ、マツダ、日産もメキシコ工場を運用していますから影響を受けますね)
過激とも言える方針転換ですが、選挙活動中もトランプさんはこのテーマについて繰り返し演説していましたのでおそらくは宣言通り実行されるものと見られています。
日本に対しては同盟国として従来の関税率が据え置かれるのか、10%、あるいは20%まで引き上げられるかによって国内経済や各産業、各地域への影響の度合いも異なるものとシミュレーションされています。
以下、アジア経済研究所 / IDE-JETROのシミュレーションをご参照ください。
参照 アジア経済研究所 / IDE-JETRO
第2次トランプ政権が掲げる関税引き上げは世界経済と日本に何をもたらすか
The Economic Impacts of Trump’s Second-Term Trade Policies: A Global and Japanese Perspective
→ https://www.ide.go.jp/Japanese/IDEsquare/Eyes/2024/ISQ202420_034.html
アジア経済研究所 / IDE-JETROによれば、沖縄県は関税10%のケースおいて、マイナスの影響が生じるとシミュレーションされています。
ドルと円の関係はどうなるのか?
トランプ第2次政権への移行により、その政策は米国内の深刻なインフレを解消するどころか、さらに悪化させる可能性が高いとの指摘が多く見受けられます。ドル安を誘導したい考えのトランプさんですが、その政策内容は却ってドル高に振れる予測がなされており、仮に更なる円安が進めば輸出企業にとっては価格競争力が生じますが、日本国内のインフレは加速、輸入物価の上昇に伴う物価上昇やガソリン価格を始めとするエネルギー全般の価格が上昇すると見られており、私たち一般庶民の暮らしは、さらに防衛的消費へと進んでしまうかもしれません。
沖縄に影響する地政学的リスク
あまり考えたくは無いのですが、トランプ第2次政権下においては米中の経済的対立の激化が予見されるため、こうした緊張関係が安全保障の領域にも飛び火するのではないかとの識者の声も聞かれます。
台湾周辺での軍事的圧力は一層高まるとの見方もあるため、隣接する八重山諸島、宮古諸島、米軍が駐留する沖縄本島への直接・間接的な影響は民間企業においてもシミュレーションの必要があります。防衛費の引き上げ要求や日米地位協定の見直し等の論点、さらには日米安全保障が大きな岐路に立つ可能性も囁かる中、私たち民間企業においても、リスクの前に身動きが取れず飲み込まれるのではなく、主体的に切り抜けて行くしたたかさが試されて行くのかもしれません。