ご存知の方も多くいらっしゃるかと思いますが、BRICSとは、ブラジル(B)、ロシア(R)、インド(I)、中国(C)、南アフリカ(S)の頭文字を合わせた呼称の新興経済国のグループです。
現在は当初の5カ国に加え、エジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連合が加盟(アルゼンチンは加盟を撤回)し、現在時点で9カ国からなる連合です。
このグループの目的は、新興経済国の利益を守り、世界経済での発言力を強化することされていますが
近年では西側諸国の国際秩序に対抗しようと加盟国を拡大する動きが活発化しています。
今回のJMPコラムでは、BRICSの動向、将来の見通し等をご紹介します。
BRICSの主要活動
BRICSは、定期的なサミットの開催、共同経済プロジェクトの推進、開発資金の調達を目的とした新開発銀行(NDB)の設立など、さまざまな活動を行っています。また、技術協力や文化交流も活発に行われています。
加盟申請中の国々
BRICSの影響力が大きくなるにつれ、他の新興国や発展途上国からも加盟申請が増えています。現在タイ、マレーシアなどが加盟を申請しており、これが認められればASEANから初の加盟国となります(インドネシアも加盟を期待されていましたが、現在の政権は時期尚早との判断で保留)。また、トルコも加盟に前向きな姿勢を見せています。
これらの国々はBRICSに加わることで経済的および政治的な利益を期待しています。
加盟国の増加と加盟各国の相互成長により、BRICSの国際的な影響力はさらに強まることは間違いありません。
BRICSの現在の動向
経済的影響力の拡大
BRICS諸国は、それぞれの経済成長を背景に、世界経済での影響力を増しています。特に人口14億人を超えるインドと中国(中国は過渡期とも言えますが)は高い経済成長率を誇り、世界のIT産業、製造業、サービス業の中心地としての地位を確立しつつあります。特にインドはモディ首相のしたたかさも垣間見えます。
政治的協力の深化
BRICS諸国は国際舞台での連携を強めています。例えば、国際連合やG20などの場で共通の立場をとり、発展途上国の声を反映させる努力を続けています。
また、国連やIMF、WTOなどの国際機関での影響力を高め、発展途上国の利益を代表する立場を強化するとも考えられます。
新開発銀行(NDB)の活動
新開発銀行は、BRICS諸国のインフラ開発や持続可能な発展を支援するための資金提供を行っています。これにより、BRICS諸国は自国の経済発展を推進するとともに、他の新興国にも恩恵をもたらしているように映ります。
BRICSの将来の見通し
BRICS諸国の経済成長が今後も続くかどうかは、各国の国内政策や国際経済環境に大きく依存しています。
今後は加盟各国のソフト・ハード両面のインフラ整備や教育の充実、技術革新を一定水準まで引き上げることができるのかが、成長・成功の鍵と言われています。
しかしながらBRICSは決して一枚岩ではありません。
加盟国間の政治的・経済的な違いや、
価値観、外交方針の違いが将来的な協力の障害となる可能性も囁かれています。
先日ロシアのプーチン大統領が訪朝したことは記憶に新しいですが、
続いてベトナムへ訪問していることは、メディアではあまり報じられていないようです。
BRICSも各国がそれぞれに抱える情勢は様々で、各国の利害や思惑などが複雑に絡んでいますので、
今後も引き続き動向を注視して行く必要があります。
人口や天然資源、産業などBRICSのポテンシャルはすでに世界経済に大きな影響を与えていますし、
まさに西側諸国の世界秩序と拮抗する勢力にもなりつつあるのかもしれません。
日本、そして沖縄はこうした世界の勢力図を眺めながら、これからの事業戦略やリスクヘッジを
構想していく必要がありますね。